ohgassoのLife Hack Report

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ジェノサイド:無くならない忌まわしき犯罪

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ジェノサイドを知る→ジェノサイドとは?

「ジェノサイド」という言葉を聞いたことがありますか?
定義としては、
「国家あるいは民族・人種集団を計画的に破壊すること。ジェノサイド条約第2条によれば、国民的、人種的、民族的、宗教的な集団の全部または一部を破壊する意図をもって行われる行為のこと」とされています。

よく知られているところでは、第二次世界大戦下、ナチスドイツがユダヤ人や少数民族に行なったジェノサイド(ホロコーストとも言われています)が有名ですし、最近では中華人民共和国が新疆ウイグル人に対してジェノサイドを行なっていると欧米各国から指摘されるなど話題となっています。
そもそもジェノサイドはなぜ発生し、そしてなぜ無くならないのか、“ジェノサイド”に対する賛否(もちろん否に決まっています)ではなく、なぜ発生し、なぜ無くならないのかを考えてみたいと思います。

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なぜジェノサイドについて考えなくてはならないのか

ジェノサイドについて考えることは気持ちの良いことではありません。
むしろ不愉快な歴史的出来事に焦点を当てる作業となります。ではなぜこのテーマについて理解を深める必要があるのでしょうか。それは2つの点が挙げられます。

★どの民族も絶滅キャンペーンの標的とされる可能性があること

★技術革新の結果、対人殺傷兵器は接近戦のそれからボタン一つで遠隔地の見たこともない民族数万人を殺せる大量殺戮兵器に進化し、集団殺戮に対する精神的な抵抗感・ハードルが下がっている可能性が高いこと

などです。つまり、なんとなくの空気や雰囲気で、日本人がジェノサイドの標的となる可能性もあるのです。

 ジェノサイドの事例

まず人間以外の動物で、ジェノサイドと呼べるような同種族に対する大量殺戮の事例があるのでしょうか。
実はあります。
近年の研究によると、動物が同じ種の動物を殺している例が記録されているようです。

非社会性の動物は単独行動をとるので、同種の動物を殺す場合は1対1で殺します。
しかし、ライオンやオオカミ、昆虫のアリなど社会性を持つ種の場合は、組織的な集団攻撃の形を取ります。種によって戦争の形態は異なりますが、雄を追放する、あるいは殺害するなどバリエーションがあります。

人間に近い種としてチンパンジーやゴリラでは、人間と同程度、仲間を殺していることが指摘されています。
ゴリラの場合、ハーレムの雌を巡って雄同士が争います。結果、勝者は負けた相手はおろかその子供まで殺します。
チンパンジーでも仲間を殺し、戦争を仕掛けることが知られています。しかも計画を立て、気配を消し、相手の縄張りに侵入して待ち伏せて相手の命を奪い、略奪を行うケースなどが報告されています。

類人猿のケースを見ると、人間の特質である集団生活がなぜ始まったのかという理由が垣間見えてきます。つまり、他の集団から身を守るために集団生活が始まり、さらに武器の性能が上がるたびにその必要性が高まってきたようです。
私たち人間は、捕食者でありながら同時に餌食であるため、必要に迫られて集団生活を開始したのではないでしょうか。

ただし、人間は動物ではありません。「人を殺してはいけない」・「人間は全て平等である」といういわば倫理観を持つこともできるはずですし、20世紀には世界は急速に狭くなり、密林でくらず部族のような見たこともない人類との遭遇も、滅多には無くなりました。なのに、なぜジェノサイドが起きるのでしょうか。

ジェノサイドに向かうステップ

まずは「自己防衛」が理由の場合です。
自分たちを守るためには集団殺戮を行います。ナチスドイツはポーランド軍ドイツ国境の施設を攻撃したと嘘をでっちあげ正統化しました。

次に「正当性」です。自身が信じる宗教や政治信条を他の民族や国と比較して進歩的・レベルが高いものだと主張し、自己を正当化します。

最後に人間扱いをやめるのです。ジェノサイドを起こした当事者は殺戮を正当化するために被害者を動物になぞらえます。ナチスユダヤ人を「シラミ」と呼び、フランス人はアルジェリアに住むイスラム教徒を「ネズミ」と、南アフリカに入植したオランダ人はアフリカ人を「ヒヒ」と呼び、人間とは別物とみなしました。

アメリカに入植したアメリカ人は、インディアンの扱いを正当化するために、白人は「自己防衛のため」、「文化の遅れている」インディアンを「野蛮な動物」と呼んで殺戮を繰り返しました。

ジェノサイドの歴史

<ジェノサイドの主な事例>※以下Wikipediaジェノサイドより引用

ホロドモール

ウクライナで1930年代に行われたホロドモール。ソ連による人為的な飢餓と弾圧により多くの人々が死亡した。犠牲者数は開きがあるものの、400万人から1,450万人と推定されている。なお国際連合および欧州議会では人道に対する罪として認定されている。

ルワンダの虐殺

ルワンダで1994年春に行われた虐殺。進行している虐殺がジェノサイドであると判断される場合は条約調印国全部に介入義務が生じるため、介入を避けようとしたアメリカほか調印国の抵抗により国連でその認定が遅れ、その際にジェノサイド的行為が行われていると見解を発表するにとどまった。虐殺終了後に事後的にジェノサイドであると認定された。

ナチスホロコースト

ユーゴスラビアにおけるユーゴスラビア紛争。
特にボスニア内戦時の民族浄化(国際司法裁判所は、1995年7月13日より始まったVRS(ボスニアセルビア武装勢力)によるスレブレニツァにおける虐殺をジェノサイド条約2条上の集団殺害と認定した。

ダルフール紛争

ダルフール紛争における集団虐殺。これは進行中の虐殺である。ジェノサイドであるとの正式な認定が国連で行われていないために強制的な介入は行われていない。 

オーストラリアのアボリジニ政策

オーストラリアのアボリジニの強制同化政策。オーストラリアの議会の調査書でこれが条約によって規定されるジェノサイドに当るとの見解が出されたが、行政府はこれに反発している。

アルメニア人虐殺

オスマン帝国アルメニア人虐殺。トルコ政府はこの見解に反発しているが、国際的には論争が続いている (詳細はアルメニア人虐殺)。
ターリバーンによるバーミヤーン渓谷の古代遺跡群における仏像の破壊。
2008年のチベット騒乱時に、ダライ・ラマ14世中華人民共和国によるチベットでのデモ活動の鎮圧などを文化的虐殺であると非難している。

チベット新疆ウイグル自治区
中華人民共和国は異民族を武力で支配下に置くチベット自治区ウイグル地方において文化的のみならず虐殺・弾圧を繰り返し、男性には断種手術を強行、チベット族ウイグル族の女性と漢民族の男性との結婚・逆らえば強姦するなど、民族浄化を強行していると、2020年から2021年にかけて、国際社会から指摘されている。楊海英も、中華人民共和国による内モンゴル人民革命党粛清事件についてジェノサイドとして論じている。

満州国

中国東北部で発生した1945年8月のソ連対日参戦によって、急速な満州国崩壊に伴い、混乱の中で取り残された日本人居留民が、現地住民や中国共産党と関係する共産ゲリラなどに、旧満州国地域にある通化という街において、虐殺や強姦など凄惨な行為を含んだ事実上の民族浄化に該当される行為を受けた1946年の通化事件があり、これを調査の上で国連に申請し、ジェノサイドに認定するべきとの専門家の声も増えている。この事件は発生が物証などから確認されている事象であり、組織的な関与の元で明らかな国際法違反が行われたと疑われている歴史上の事件であり、現在でも現場の都市名から「通化事件」といわれている。

 世界がどんどん狭くなり、高度でグローバルな情報化社会が広がる現在社会でも、ジェノサイドは世界のどこかで、現在進行形で行われています。

本来、人が人として生まれつき備わっているとされている基本的人権が、損なわれている社会が日本のすぐ隣の国にあることを、国際社会の一員である日本人はもっと大きな声を上げなくてはならないと思うのですが、皆さん如何でしょうか?